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世界初 地震後の亀裂を素早く埋め立て CO₂の地下貯留にも貢献 名大など7集団

名古屋大学と東京大学、岐阜大学など7団体からなる研究グループは、新たに開発したコンクリーション化剤を用いて、マグニチュード5.4の直下型地震を含む計11回の実験で地下水の湧水を止めることに成功した。地震後の亀裂を速やかに、修復したことは世界で初めてだったという。22日付の英科学誌で発表されている。

直面している地球環境問題への対策として、放射性廃棄物の地下隔離や温暖化対策としての二酸化炭素(CO₂)の地下貯留などは数百年〜数千年以上もの分離が必要だ。また温暖化を促進するメタンガスの放出を抑えるためにも、その永久的シーリングが課題となっている。

グループは開発したコンクリーション化剤の岩石の亀裂や隙間を埋める機能を確認するため、地下350メートルの研究所で試験を行った。その結果、透水性が100分の1~1000分の1まで低下し、11回の地震で生じた亀裂シーリング効果の低下も回復することが認められたという。

7団体は「従来のセメント素材での長期耐久性では対応できない弱点を補うことのできる効果だ」と指摘し、「このような効果を持つコンクリーション化剤は、トンネルや地盤改良などの分野にも活用が可能」と期待を寄せている。