てんかん患者がアンケートに答える様子
大阪大学の柳澤琢史教授らと東京大学の池谷裕二教授などの研究グループは、ぼんやりする状態であるマインドワンダリング中に、記憶を定着させる海馬の活動(SWR)が強まることを初めて発見した。SWRの制御が可能になることで、多くの精神神経疾患の治療などへの応用が期待できるという。
グループはてんかん治療のために海馬の中に電極を留置された患者10人から脳波を測ってSWRを10日間にわたって検出。17項目のアンケートに答えてもらった。
その結果、SWRの頻度は夜間に増加し、日中に減少するという変動を示した。特にマインドワンダリングの状態の時にSWRが増加していることが分かっている。思考内容とSWRの関係性が強いことが示されており、マインドワンダリングが記憶を形成する活動に関係していることが示されている。
研究に参加した岩田貴光大学院生は「この研究結果が今後、てんかん、記憶障害、認知機能障害などで悩まれている患者さんのために役立つことを心から願っている」としている。