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光により脳内のアデノシン活性増強 眠りを誘導する薬を開発 不眠症対策などに貢献 筑波大

筑波大学の⻫藤毅准教授らのグループは、睡眠と意欲の調整に重要な役割を果たす「アデノシンA₂₄受容体」の感受性を高める薬物を開発した。この受容体が存在する脳の側坐核(そくざかく)に光をあてることで睡眠をリモート誘導することに成功している。

アデノシンA₂₄受容体は中枢神経系や血管、臓器に存在し多くの生理作用に関与する。これを選択的に活性化して睡眠を調節する医薬品の創出を目指した研究が行われてきたが、中枢神経系を狙い撃ちする薬物の開発には課題を抱えていた。

研究グループは脳組織の形態を維持する「アストロサイト」と「ニューロン」の活動からアデノシン濃度が局所的に変化して、眠りを制御していることを確認した。そこで、アデノシンA₂₄感受性を増強する物質を基に、新たな薬物「新たな光応答性薬物OptoA₂APAM-2 」を開発した。

これをマウスに投与したところ、マウスの睡眠時間を1.7倍に増加させることに成功したという。⻫藤准教授らは「既存薬への治療抵抗性がある不眠症をはじめ、現在の治療法では満⾜いかない疾患に対し、より効果的な薬剤の開発につながる」と評価している。