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プラズマ照射でアキレス腱の治癒を促進 医工連携で次世代医療 大阪公立大

ラットのアキレス腱に低温大気圧プラズマを照射する様子

大阪公立大学の研究グループは、断裂した腱がくっつくまでの日数を短縮できる治療法として低温大気圧プラズマを使う方法を生み出した。再生が促進し強度が向上していることが確認されたとしている。実施されている腱治療と組み合わせることで、腱再生や治療期間短縮への貢献への期待が寄せられている。

研究グループは生体に直接照射可能で、持ち運びできるペンシルタイプの低温大気圧プラズマ照射装置を開発した。それを用いて、ラットのアキレス腱に断裂モデルを作製して腱を糸で縫合し、損傷部位にプラズマ照射を行うことで治癒がどのように変化するのかを調べた。

その結果、プラズマ照射群は、2週から組織の配列が並行で核の形が紡錘(ぼうすい)形に近い。照射していない群では組織の配列は時間が経つと平行になったが、2週、4週では丸い形の核が多かった。これは治っている組織が多いことを表し、紡錘形の核は正常腱に多い腱細胞が多く存在することを示している。

正常腱にはコラーゲンタイプ1が、瘢痕(はんこん)組織には同タイプ3が多く存在する。アキレス腱の治癒はこのタイプ3が1に変化していくことで、改善していくことが知られている。

プラズマ群では全期間において照射していない群よりタイプ1が多く含まれ、タイプ3が少ない結果であった。よって、プラズマ照射によりタイプ3からタイプ1への置換が多く起きることが分かっている。

研究グループは「今回の結果は、将来低温大気圧プラズマが、骨再生とともに、腱の再生医療へ繋がることを示唆している」と評している。