北海道⼤学の江⼝剛大学院生と髙⽊⼒教授らの研究グループは、⿂が尾ヒレを振らずとも推進する「ドラフティング」について調査した。マアジとウグイを⽤いて⽣体実験を⾏い、⿂が⿂体まわりの流れ場の変化に伴う圧⼒差を利⽤することで体にかかる⼒を低減させるメカニズムを明らかにしている。

他個体との直接的な接触なく⼒の作⽤が起きて泳ぐ現象はドラフティングと呼ばれ、⼦イルカが尾ヒレを振らずとも親イルカに追従できる「抱っこ泳ぎ」が知られている。魚群内でも尾を振らずに他個体についていく様子が報告されているが、再現が難しく直接的な仕組みの解明には⾄っていなかった。

研究ではマアジとウグイを採用してどのようなメカニズムで起こっているのかを調べた。

それによると、流れの剥離（はくり）がほぼない状態で⾼い流速を受ける環境でも、近くに⽣じる低圧領域を利⽤して⿂はドラフティングを実現させた。この仕組みは状況を再現した模型実験などでも検証し、遊泳姿勢の制御がなければ困難だと明らかにしている。