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海外駐在員、本社と他国支社の人間関係を構築 孤立につながる場合も 京大研究G

海外駐在員のパウンダリー・スパニング

京都大学の関口倫紀教授らのグループは、多国籍企業の海外駐在員が子会社と本社の橋渡しを行う「パウンダリー・スパニング」を分析。良い面だけでなく悪い部分もある諸刃の刃であることを示している。

パウンダリー・スパニングには中核技術や知識の伝達を行う機能的次元、具体的情報や暗黙知を伝える言語的次元、文化的な障壁を超えた関係構築を行う文化的次元があるとされている。

研究グループはこれら3点に関するデータを中国の多国籍企業で働く海外駐在員と同僚の177ペアから2回に分けて収集した。

それによると、海外駐在員のバウンダリー・スパニング活動が、良好な人間関係の構築を促進することで海外駐在員と現場の信頼関係が強化されると分かった。その結果、それぞれの従業員の組織への帰属意識が高まるといったように、組織全体の利益に貢献する傾向が確認されました。

一方で、海外駐在員のバウンダリー・スパニングが引き起こす負の影響も明らかになっている。例えばバウンダリー・スパニングがストレスや疲労を高めることや、海外駐在員がから孤立してしまう傾向があることが判明した。

関口教授らは今後について「海外駐在員のバウンダリー・スパニング活動を構成するそれぞれの次元のはたらきについてそれらの間の相互作用も含めてより詳細に研究を行っていく予定だ」とコメントしている。