慶応義塾大学
慶応義塾大学の尾﨑雄人筆頭著者ら8人を中心とした75人の研究者は、55言語による音楽と言葉のデータを収集し、音楽と言語のグローバルな類似点と相違点を分析した論文を発表した。楽器の旋律と歌は発話よりもピッチが高く安定しており、遅いリズムを持つというパターンが例外なく見られたとしている。
研究ではアジア、アフリカ、アメリカ大陸、ヨーロッパ、太平洋地域から研究者を46カ国から募った。各国の学者が楽器の演奏や歌を歌い、ピッチ、音色、リズムなどを分析した。参加者は中国語、ヨルバ語、ヘブライ語など55の言語に渡った。
その結果、旋律と歌は発話よりもピッチが高く安定し、遅いリズムを持つということが各文化で見られることを明らかになった。一方で、研究の限界として各言語のサンプル数の小ささが挙げられたという。
尾崎上席研究員は「音楽と言語はあらゆる社会に存在するが、それらの比較分析において、これまでなかった多様な言語や文化からのデータを用いることで、私たちが何故歌と発話という二つの音声コミュニケーションを使うことに至ったかの起源に迫っていきたい」と力を込めている。