総合研究大学院大学の蔦谷匠助教らの研究チームは15日、約1000年以上前の古人骨の口の中に含まれた古代たんぱく質を発見したと発表した。口くう内細菌の種類と炎症の程度を明らかにした。研究が進めば、新たな感染症予防策の開発が可能となるかもしれない。
「過去に生活した人たちの口に存在した病原体はどのようなものだったのか」―。こうした疑問からチームは古人の史跡を分析した。
チームは浜中2遺跡(北海道)で発掘された道で565~678年に亡くなった女性の歯を分析。歯周病菌の住処となる歯石が多く定着しており、歯周病状態にあることが確認されている。他の個体との食性の差を調べると、同様の食事をとっていたことが認められた。
また、たんぱく質を抽出すると、ヒト由来の口くう内細菌のたんぱく質を同定した。歯周病の原因として有名な「レッドコンプレックス」も発見されている。
研究グループは「今後、こうした研究が進み口くう内細菌の病原性の獲得と進化のメカニズムが明らかになることで、それを基にした口くう衛生の向上や新たな感染症予防策の開発が可能となるかもしれない」としている。