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世界初 量子計算機がスパコンを凌駕する条件を明らかに 東大など3機関

東京大学の吉岡信行助教らと大阪大学、日本電信電話(NTT)のグループは、計算の誤りに対して頑強に動作する機能を備えた量子計算機が、スーパーコンピューターを含んだ古典計算機よりも速く計算するための条件を明らかにした。

量子計算機は量子力学の原理を活用して計算する機器。量子化学や暗号解読という分野では従来型の計算機よりも速く答えを出せるが、1日以上の時間がかかっていた。

どちらが先に計算を終わらせられるのかを調べるためには、古典・量子アルゴリズムの両方を考えられる最速で動かす必要がある。そのために、前者ではテンソルネットワーク法、後者は量子位相推定法で計算時間を解析した。

研究では物性物理学と呼ばれる分野への応用に着目。解析の結果、同物理学における代表的な強相関量子多体模型においては、数十万の物理量子ビットで数百の論理量子ビットを構成するような量子計算機を用いれば、数時間のスケールで古典計算機よりも速くなることが明らかになった。

研究グループは「物性物理学に止まらず、材料科学や高エネルギー物理、微分方程式の求解といったさまざまな分野において、古典計算機によって到達可能なフロンティアを明らかにして、量子計算機で凌駕していく試みが、さらに進展することが期待される」とコメントしている。