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ハムスターは冬眠中も綺麗な爪であり続ける 人間の爪や皮膚の健康維持に寄与 北大

冬眠によるハムスターの爪への影響

北海道大学の山口良文教授らのグループは、冬眠中は爪の伸びが止まるにも関わらず爪自体に異常は生じないことをシリアンハムスターで見いだした。冬眠しない動物の健康維持につながる知見の発展に期待が寄せられている。

野生生物は爪を巣穴を掘り、身を守る武器としても使う。哺乳類には冬眠により冬を乗り切る生物がおりその際、体の維持や成長も停止することが報告されている。人間は栄養不足で爪に異常が現れるが、動物は冬眠中にどのようになっているのかを調査した。

研究グループはハムスターの爪に印をつけて、その伸びを計測した。結果、冬眠を経験した個体は異常なくきれいに保たれていることが分かった。だが、数カ月だけ眠って目が覚めたハムスターは爪の成長が大幅に抑えられていたが、わずかに長くなっていた。

爪が伸びる力となる細胞集団の分裂能力を調査したところ、低体温状態の深冬眠個体は細胞数が減少していた。一方で、分裂能の指標となる分子の発現には、大きな違いはなかったという。つまり、冬眠中には細胞分裂をはじめとする爪の伸びに関わる過程の進行が停止するが、体温が正常に戻る中途覚醒をした際には停止から解除され、正常に爪が伸長することが明らかになっている。

グループは「冬眠する動物の爪や皮膚を調べることで、人をはじめ冬眠しない動物の爪や皮膚の健康維持にもつながる思わぬ知見が出てくるかもしれない」としている。