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世界初 アマモ場の貢献を空間評価 6000万円・25トン以上の漁獲高に貢献 北大など4集団

アマモとホッカイエビ=撮影・白川北斗研究員

北海道大学や東京大学、水産研究・教育機構など4団体からなる宮下和士教授らの研究グループは、世界で初めて海藻であるアマモの群生による供給サービスを空間的に評価した。ホッカイエビの6000万円以上の漁獲高にアマモが貢献していると示されている。

北海道網走市の能取湖(のとろこ)ではホッカイエビがアマモ場に生息している。だが、どこの部分にとりわけ生息するか分かっておらず、定量化するために両者の空間的な関係を調べた。

2015年7月に調査を実施。魚群探知機を使ってアマモの分布を分析した。また、8月にアマモ場の「内部」と「外部」、「境界域」の計15カ所にエビ籠(かご)を設置し、それぞれの漁獲量を測った。

それによると、アマモ場は計7.07平方キロメートルと推定された。エビは水深3~5メートルの境界付近でよく獲れると判明。漁獲物の販売金額を示す漁獲マップを作成した結果、漁獲量は25.37トン、金額は6032万円に上ると試算されている。アマモ場の外や内だけでなく、境界部分も漁業に影響を与えると確認されている。

グループは「研究で示した新たな生態系サービスの評価手法は、持続可能な里海づくりへの貢献に期待される」とした。