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重症下肢虚血患者、院内死亡の約7割が疾患以外の原因 全身管理の改善急務 横浜市立大

横浜市立大学と東京医科歯科大学の研究グループは、動脈硬化により血管に閉塞が生じる下肢虚血患者のうち重症患者の6.5%に院内死亡が発生しており、 65.5%が患肢以外に起因していた可能性があることを明らかにした。

下肢閉塞性動脈疾とは、動脈硬化などを背景に下肢動脈に閉塞を生じる疾患の総称。治療のための下肢切断により生活の質を低下させ、死亡リスクも高める疾患だ。患者の生命予後を改善させる方法が必要だが、入院数や死亡数、死因といった全体像は解明されていなかった。

研究チームは2018年4月~20年3月に急性期病院で入院し、侵襲的治療を受けた人の死因を解析した。

調査によると、重症下肢虚血患者全体で6.5%に院内死亡の発生を確認。その約7割が患肢以外の要因によるものであることが示唆されている。

切断術について調べると、血管内治療などを行わない「一次切断」が最多の62.9%。「血管内治療」30.3%、「下肢動脈バイパス術」4.0%と続いた。切断部位は「膝上」「膝下」「足関節以遠」の順番であった。

グループは「これまで診療科を超えて包括的な評価が困難であった重症下肢虚血患者について、急性期病院への入院患者数、入院中に実施された治療、院内死亡の発生頻度、そしてその死因を国内全体データとして初めて提示された」と評価している。