北海道大学の迫田義博教授らの研究グループは、豚熱ウイルスの感染やワクチン接種時に産生される抗体を識別する簡易キットを韓国の企業「バイオアプリケーションズ」と共同開発した。
豚熱は豚とイノシシに感染し、死に至る病原性をもつ。ワクチンで予防することは可能だが、抗体は野外のウイルスと識別できないので、農場に病原菌が潜んでいないと言い切ることはできない。この課題解決のためのマーカーワクチンが開発されているが、追加の2検査をして判断しなければならない。
研究グループは豚熱ウイルスに発現するたんぱく質E2とErnsを組み換えたんぱく質とし、抽出精製することに成功した。
このたんぱく質を用いて開発した簡易キットに、野外ウイルスに感染した個体とワクチンを接種した豚の血液をたらしたところE2とErnsの両方のたんぱく質の抗体が検出された。
一方、韓国で開発された豚熱マーカーワクチン及びErnsを他のウイルスのErnsに置き換えた豚熱ウイルスを接種したブタの血液をそれぞれ簡易キットに滴下した。すると、E2に対する抗体は検出されたが、Ernsに対するものは見つからなかった。
研究グループは「開発した抗体検出簡易キットは、マーカーワクチンの国内での導入時に有効なツールとして活用されることが期待される」とコメントしている。