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リュウグウから新たな鉄ナノ粒子を発見 初期太陽の磁場環境の理解に貢献 北大など7団体

宇宙の塵の衝突とはやぶさ2のイメージ図

北海道大学と神戸大学、東北大学など7集団からなるチームは、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから回収した試料を調査した。その結果、磁鉄鉱「マグネタイト」とそれを取り囲むように存在する鉄ナノ粒子からなる新しい組織を発見した。新たな記録媒体として、太陽系形成の知見を切り拓くかもしれない。

リュウグウのサンプルから切り出した物体を解析すると、マグネタイトとそれが還元することで形成される「ウスタイト」の両方の特徴を持つ物体が確認された。これはこれまで知られていない組織であり、研究グループは「擬似マグネタイト」と名付けた。

擬似マグネタイトの周囲には鉄のナノ粒子が多数見られた。その磁場を観察すると、マグネタイトと同様の渦状磁区構造を示したという。これは、鉄ナノ粒子が長期間に渡って、この粒子が形成した時の磁場情報を保持できることを示す。

また、擬似マグネタイトと鉄ナノ粒子は宇宙塵の衝突による加熱で形成したと判明。研究によると、リュウグウの母天体に直径2~20マイクロメートル(1000分の1ミリ)の小さな宇宙塵が秒速5キロメートル以上の速さでぶつかって作られるという。

研究チームは「発見した鉄ナノ粒子は、高い磁気安定性を示す渦状磁区構造を有しており、衝突時に形成した当時の磁場情報を記録している可能性がある」とし「新しい記録媒体として使われることで、初期太陽系のより幅広い磁場環境の理解につながる」と評している。