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活発な林業、炭素隔離量を2~3倍増加 スギやヒノキなど4種で調査 静岡大

静岡大学

静岡大学の江草智弘助教らのグループは、人工林樹種からなる森林の年齢増加による成長をモデル化した。未来の炭素隔離量を評価すると、活発な林業が二酸化炭素(CO₂)の排出防止につながるとしている。産業で用いられる人工林が極めて高い隔離能力を発揮するという。

研究グループはスギとヒノキ、マツ、カラマツを対象に林齢―炭素蓄積量関数を作製した。これを用いて、過去の蓄積量の経年変化を推定し、植林・伐採シナリオによる森林のCO₂排出防止の違いを検討した。

その結果、4種全てにおいて、これまで考えられてきた成長速度や過去の森林炭素蓄積よりも関数を用いた新規推定値が大きくなった。

例えば2060年時点の炭素隔離量予測値は、現状の2倍の伐採率と伐採に対して100%の植林を仮定すると、伐採も植林もしないとパターンよりも 3~4 倍の割合となった。この伐採率・植林率条件の炭素隔離量は、現況の2~3倍に達している。

日本の人工林は、積極的な伐採と植林により、樹木生産物による炭素貯蔵の長寿命化を図るという前提の下で極めて高い炭素隔離能力を発揮することが示唆されている。江草助教は「本研究で得られた結果は議論を行う上で、有益な情報を提示する」と評価している。