文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
iPS細胞で心臓再生に成功 不整脈を抑えた移植が可能に 信州大・慶応大・Heartseed

信州大学と慶應義塾大学、再生医療の「Heartseed」の共同研究により、臨床治療用のiPS細胞から心筋細胞の塊である心筋球を作製し、心筋梗塞を発症させたカニクイザルの心臓に移植した。長期に渡って生着し、心機能を回復させることに成功したという。米科学誌「サーキュレーション」のオンライン版に26日付で掲載されている。

ヒトを含むほ乳類は、心筋細胞の自己再生能力を持っていない。重症心不全などでは根本的な治療法が移植しかなく、ドナーの不足が課題となっている。iPS細胞を使った再生医療が期待されるが、心室性不整脈発生のリスクが実用化の課題となっていた。

研究グループは高純度の心筋細胞を製造し、心筋塊を作った。それをカニクイザルに移植すると心機能が再生された。実験で使われた10頭のうち2頭で不整脈が見られたが、1日のわずか3.2%にとどまったという。

研究グループは「ヒトiPS細胞由来再生心筋細胞を心臓に直接移植することにより心不全を改善する治療法がより臨床的に現実的なものになった」と説明。ヒトへの治験をすでに開始しており、遠方施設においても移植が可能か試しているという。