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森林が年をとるほど土砂災害は減少 若い林の成熟で半分以下に 静大と宮崎大

静岡大学

静岡大学の今泉文寿教授と宮崎大学の篠原慶規准教授のグループは、若い林から高齢主体に変化すると土砂災害が半分になることを推測した。森林の年齢の変化による災害発生件数は、降雨変動よりも大きいと考察されるという。

研究グループは林齢と土砂災害の起こりやすさの関係、人工と天然林の森林面積を推定した。これらを組み合わせ、日本の災害発生率の変動を調査した。20年生以下の若齢林と20~60年生の壮齢林、60年生以上の高齢林と5つの降雨シナリオをあわせた15ケースで災害件数を調べている。

その結果、若齢林から高齢林、壮齢林となることで、土砂災害は0.5、0.4倍となり、降雨が10~20%増えることで土砂災害は1.3、1.7倍になることが予測された。雨よりも森の成熟が件数に大きな変化をもたらし、山の安全に与える影響は大きいとされている。

今泉教授らは「本研究で行ったような評価をさまざまな種類の災害及びその対策で実施することで、国全体での災害抑制のために最も有効的な手段を見いだせる可能性がある」と説明。「活用することで抑制に向けて、世界に先駆けたプロトタイプを示せる可能性がある」としている。