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コオロギの「動く」「食べる」「眠る」を同時解析するシステムを構築 早大×東京農工大

DeepLabCutを用いたコオロギのラベリングイメージ

早稲田大学の片岡孝介主任研究員や東京農工大学の鈴木丈詞教授らの研究グループは、昆虫の秘められた日常を解き明かすことを目的として、体内リズムの研究で不足していた姿勢や位置情報から動きを解析することに挑戦した。コオロギで移動運動や摂食、睡眠などを定量化するシステムを構築することにも成功している。

研究ではコオロギの移動や睡眠などの行動を同時に観測する仕組みを作り出した。深層学習をベースとした行動解析ツール「DeepLabCut」を利用し、物理的マークを用いずにコオロギをラベリングできる。これを使えば観察者のバイアスを除いた行動パターンを分析できるという。

システムは昆虫の日周リズムの深い理解を提供するだけでなく、行動学研究における新しい可能性を開く。例えばこの技術と音響機器を組み合わせることで、発する鳴き声など個体間の聴覚コミュニケーションを解明する研究などへの展開が期待できるという。

研究グループは今後の課題として多くの昆虫種に対するシステムの適用や、行動分析の精度向上に向けたアルゴリズムの改良を指摘。「今回の研究成果を基盤とし、コオロギならではの魅力的な生物現象を探究していきたい」とコメントしている。