シャーレ上のハネモ
名古屋大学と東京工業大学、国立遺伝学研究所は共同研究により、難易度が高いとされる大型藻類「ハネモ」の高精度ゲノム解読に成功した。たんぱく質であるレクチン遺伝子が、核や細胞質を指す原形質からでも復活する再生力に関係している可能性を示している。
ハネモは1つの細胞から10センチメートル以上に成長する海藻だ。再生能力が高く細胞内の核のみからでも元に戻れるという。研究グループは謎の多いハネモの安定的な培養方法を確立し、ゲノムを解読することで性質に迫ろうとした。
研究によると、薬剤添加により細胞内の輸送系「キネシン-微小管系」を阻害することでハネモ細胞内の葉緑体の動きが抑制された。これにより、ハネモの細胞内輸送はキネシン-微小管系が主導している可能性が示唆された。
また、再生時に関わるとされるレクチン遺伝子BPL-1を15個発見している。他の再生能力の低い大型緑藻では、BPL-1は見つからなかったことから、この遺伝子の重複によりハネモの再生能力の高さが維持されていると見込まれる。
研究グループは「この研究は、特にハネモを含む大型緑藻の再生能力の高さや物質の輸送に関わる機構が、植物と比べてどのように異なるかを調べる上でも重要だ」と講評。ハネモ特異的な遺伝子の重複や減少を発見し、大型緑藻に新たな知見をもたらしたという。