東北大学の近藤威助教らの研究グループは、既存のものと比較して吸収性が高く、亜鉛イオンやフッ化物イオンなどを放出する生体活性ガラス「MPガラス」を開発。強い骨の再生作用と抗炎症効果を示すことを明らかにした。技術を利用した新たな骨補てん材の開発が期待されている。
生体内でイオンを放つ生体活性ガラスは、骨再生への応用が見込まれている。だが、これまでの研究では再生促進作用を示す一方で、長期にわたり残存して炎症を引き起こしたため臨床で使うことは困難とされていた。
今回、研究グループは骨再生と抗炎症効果のあるMPガラスを開発。高い石灰化促進や抗炎症、抗菌作用を示すことを試験管内で確認している。また、マウスの骨欠損部では炎症を起こさず強力な骨再生作用があると示されたという。
近藤助教らは今後について「MP ガラスを用いることで、既存の骨補填材よりも高い生体活性作用を示す骨補てん材としての実用化を目指す」とし「大規模骨欠損の治療を可能にする新たな骨再生療法の開発につなげたい」と力を込めている。