岡山大学の狩野光伸教授らの研究グループは、すい臓がんの難治化原因であり再現できなかった「線維化障壁」の形成に、たんぱく質ROCK2が関与することを明らかにした。新たな治療戦略を開発する足掛かりとなりそうだ。
すい臓がんは薬剤ががん細胞への到達することを阻む線維化をする難治がん。治療成績を改善する上で、薬剤を防ぐ線維化障壁の克服戦略をたてることが重要だ。だが、これを実験的に再現することは難しく、どのように作られどうすれば治癒できるのかこれまで不明であった。
研究では、すい臓がん患者由来のコラーゲンなどを分泌する線維芽細胞を体内を再現して培養。構築した組織ではコラーゲンなどが沈着し、薬剤が通過しにくくなることが認められ、線維化障壁モデルを生み出している。
それを詳しく解析すると、ROCK2が線維化で確認されているコラーゲンの付着といった異常課程に関わることを突き止めた。また、ROCK2を標的化することで線維化障壁を克服しうることが判明している。
研究グループは「研究成果は、薬剤を用いた線維化障壁克服の可能性を示唆するとともに、線維化障壁の形成メカニズムとその克服法の解析を可能とする実験基盤を確立した」と評価。「膵がんの新たな治療戦略を開発する足掛かりとなることが期待される」としている。