東京大学の横山祐典教授らによる研究グループは、黒潮大蛇行時期の黒潮の内部構造を初めて海水中の炭素14(DICΔ¹⁴C)によって可視化することに成功し、内部での海水混合の実態を明らかにした。
黒潮大蛇行とは北緯32度よりも南を流れる現象を指す。2017年に始まってから6年以上続いており、気候や生態系への影響が懸念されている。研究チームは大蛇行海域における水塊混合メカニズムを考察した。
本州南方黒潮海域の8地点にて表層から1200mまでの約11層の海水を採取しDICΔ¹⁴Cの分布を調査した。
研究の結果、他の物質と比較してDICΔ¹⁴Cがより高感度であり等密度面内での鉛直混合や移流といった、水塊混合に対するより詳細なデータを提供可能であることを初めて示した。グループは「今後、炭素14をトレーサーとして利用することで、水塊混合の実態の解明が進み、海洋の鉛直循環や海洋生態系の研究に貢献する」とコメントしている。