理化学研究所の寺尾知可史チームリーダーと東京大学の松田浩一特任教授らの研究グループは、日本人の全ゲノムシークエンス(WGS)情報を分析した。日本人の遺伝的構造、ネアンデルタール人およびデニソワ人由来のDNAと病気の関連性などを発見した。科学雑誌「サイエンスアドバンス」のオンライン版に18日付で掲載されている。
研究グループは全国7(北海道、東北、関東、中部、関西、九州、沖縄)地域から3526人のゲノム情報を解析した。
それによると、縄文人の祖先比率については、沖縄が最も高い比率(28.5%)を持ち、次いで東北(18.9%)である一方、関西が最も低い(13.4%)と推定された。これは、縄文人と沖縄の人々の間に高い遺伝的親和性があることを示す以前の研究と一致している。また、関西地方は漢民族と遺伝的親和性が高いことが明らかになった。
加えて、ネアンデルタール人やデニソワ人から引き継がれた遺伝子配列を検討。ネアンデルタール人から3079、デニソワ人から210ゲノム領域が特定されている。また、ネアンデルタール人由来のものから、アトピー性皮膚炎、前立腺がん、関節リウマチなど7つの病気に関連する領域が観察された。
研究グループは「絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人から引き継がれたDNAが現代日本人の遺伝的多様性にどのように寄与しているか、またその病気感受性や表現型特性に与える影響はどうかという点についての理解が深まった」とコメントしている。