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同位体モデルと精密観測によりメタンの「足あと」を辿ることが可能に  東北大など8団体

東北大学や海洋研究開発機構(JAMSTEC)、米コロラド大学など8機関からなるグループは、大気中のメタン濃度の変化に対して化石燃料および微生物起源のメタンがどのように影響したか、放出一覧表や高精度のメタン濃度、大気観測データなどを組み合わせて解析する手法を新たに開発した。

研究では全球大気化学輸送モデルに新たに安定炭素および水素同位体比を組み込み、起源別の出源分布を用いて過去30年以上にわたる計算を行った。次にメタン濃度および同位体比観測結果とモデル結果を組み合わせ、放出量変動と濃度変動との関係を推定した。

メタンは化石燃料の採掘など生産に伴う漏出がある。その変動を解析したところ、1990~2000年代初頭にかけて減少したものの、その後は顕著な変動がなかった。これは既存の一覧表に推定されていた、90~20年代の石油・天然ガス関連の放出量の増加や米国でのシェールガス採掘による放出量の増加のどちらとも異なるもの。

全体としての放出が一定だった期間について、中国における石炭採掘に伴う放出量の増加が、他地域における石油・天然ガス関連の放出量の減少に打ち消されていたと推測されている。

90 ~10年代にかけて、微生物起源のメタン放出量が増えており、年平均で4600 万トンの増加となっていた。内訳を調べたところ、その大部分は廃棄物埋立(40%)と畜産(34%)によるものであることが判明している。

研究グループは「本研究のような部門別放出量推定の精緻化は、近年活発化しつつあるメタン放出量の削減に向けた国際的取り組みにおいて、より効果的な対策につながるもの」とされている。