東京農工大学
東京農工大学の田川義之教授らの研究グループは、柔らかい材料に力が加わった場合に内部でどのように分布するかを測定するための光学的手法を考案した。再生医療や脳動脈りゅうの破裂メカニズムの理解などの生体医工学分野での応用が期待されている。
人体など柔らかいものに力をあたえた場合に、どのように力が発生するかは生体医工学などの分野で極めて重要だ。例えば、柔らかい脳動脈りゅう周りの応力分布を解明し、破裂の仕組みを理解することが求められている。また、注射の痛み評価など低侵襲な治療の実現に向け、柔軟な材料内の力の及びの把握が重要だ。
研究では材料内の応力のわたり具合を推定するための手法である光弾性トモグラフィーを用いた。素材内部の応力状態によって変化する透過光の情報を高速度偏光カメラで計測し、材料の内部状態を推定している。
グループはモデルケースとして、ゲルのかたまりに固体球を押し付け、3次元で応力を測った。結果と理論が一致を示し、この手法によって正確に内部の負荷が測定できることを確認している。また、ゲルに固体球を衝突させると、衝撃によって短時間で変化する応力場も視認することに成功している。
田川教授らは「剛性球の衝撃だけでなく、液体ジェットの衝撃や脈動によって引き起こされる材料内の応力分布など、材料内の応力分布の理解や生体医工学や細胞印刷などの応用分野での応力評価が向上する可能性がある」と説明している。