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プラズマ照射で骨折治療 3.5倍の強度に回復 「難治性骨折の治癒を促進」 大阪公立大

大阪公立大学の豊田宏光准教授らのグループは、プラズマ照射による骨折治療法を提案した。ラットを用いて実験した結果、骨の癒合(ゆごう)が進み、その部位は3倍以上の強度を誇っていたと発表している。17日付の国際科学誌「プロスワン」で掲載されている。

骨折は手術を行っても、元の状態に回復するまでに一定期間が必要だ。治癒を促進し、骨癒合までの日数を短縮できる治療法の開発は難しいが、いまだニーズが高い重要な課題となっている。

研究チームが注目したのが、低温大気圧プラズマ技術だ。皮膚の潰瘍や感染に対して、治癒促進効果が発揮されることが報告されている。

研究グループは持ち運びができるペンシルタイプの照射装置を開発。ラットの大たい骨骨折モデルを作製して、5分の間プラズマを照射する群とヘリウムガスをあてる群に分け、レントゲンの変化や組織学的違いを比較した。

その結果、術後8週時点でレントゲン群は骨癒合していないラットに対し、プラズマ群では骨の連続性を確認できた。さらに組織検査では、プラズマ群では術後4週で骨折部に軟骨の形成がみられ、軟骨内骨化という骨癒合で必要なプロセスに進んでいることが分かったという。加えて、骨折部の強度は3.5倍となっていた。

豊田准教授らは「現在行われている骨折治療に、今回の動物実験で示された低温大気圧プラズマによる骨折治癒促進効果を組み合わせることができれば、難治性骨折の治癒を大いに促進させる画期的な治療法になる」と表現している。