九州大学のポカレル・ラメシュ教授らの研究チームは、ワイヤレスで電力を送る「無線電力伝送システム」の周波数などに依存する電気特性を人工知能(AI)で予測することに初めて成功し、システムの設計時間を短縮した。
無線電力伝送システムは充電ケーブルが不要であり、特に電気自動車やスマートフォン、医療機器に普及している。AIによる設計が提案されてきたが、これまで伝送効率のための利用に限定されており、システムの複数の電気特性を推測することはできなかった。
研究では、異なる伝送距離での発受信器の磁界結合を分析し、4つのカップリングパフォーマンスを解明した。また、AI翻訳の概念から、発受信器のレイアウト、電子素子、伝送距離を周波数に依存する電気特性の形に言語化している。
例えばオーバーカップリングを検討する場合、従来手法に比べて、今回のモデルがより正確に予測した。また、伝送距離が変化した場合、ステムの伝送効率や周波数特性を正確に予測することに成功したという。
チームは「設計自動化が可能になることで、必要な電気パラメータを入力するだけで、それに基づいてシステムのレイアウトが自動的に生成される」と紹介。「設計作業の手間と時間を大幅に短縮し、設計プロセスの効率化が図れる」と講評している。