東京大学の矢守航准教授らは、人工光型植物工場において、タンクの培養液を室温に対して 3度加温することによって、植物の生育促進のみならず、カロテノイドやビタミンCなどの機能性成分が向上することを明らかにした。作物の生産性と機能性成分を増産させる新しい栽培法の開発に貢献しそうだ。
研究グループは、培養液を室温より数度高くすることで、植物の生育と品質が向上する可能性を見いだした。そこで、多様な室温で栽培したレタスにおいて、培養液を3度加温することによる、植物成長や機能性成分への影響を調査することにした。
実験材料にはレッドリーフレタスを使用、室温は17、22、27、30度で培養液を3度高くする区とそうでないところを分けてレタスを栽培した。
4つの室温条件で液の温度を高めることで、レタスが大きくなることが分かった。その増加率を調べたところ、室温22度では31%に上った。また、「クロロフィル」「カロテノイド」「ビタミンC」の成分も向上している。
また、根ではアミノ酸の合成の起点となるものが増えていたことから、3度高めることでアミノ酸生成を促進している可能性があるという。
グループは「新産業である植物工場において、作物の生産性と機能性成分を増産させる新しい栽培法の開発に貢献する」と評価。「最小の資源とエネルギーの投入で、最大の収量と品質を得るシステムを確立するとともに、環境負荷を最小限に抑える技術開発を進めて
いきたい」と意気込んでいる。