筑波大学の田宮菜奈子教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症禍の在宅での死亡者数の増加要因を分析した。常勤医師3人以上が算定要件となっている「従来型在支診・在支病数」が在宅死の増加と最も関連しており、パンデミック時の柔軟な行動が影響したと見られる。
これまでは新型コロナ禍における在宅死割合の変化は検討されていなかった。研究では、パンデミック前後に家で亡くなる程度の変化とどういった特徴が死亡の増加と関連しているかを検討した。
2019~21年に在宅死があった1696自治体を対象に、65歳以上の病院病床数や訪問看護師、都道府県人口当たりの累積コロナウイルスり患者数など11項目を曝露要因としている。
分析の結果、15、19、21年で、12.7%、13.6%、17.2%の在宅死割合の増加を認めた。19よりも21年で増加していたことについて「従来型在支診・在支病数」「訪問看護指数」「人口密度」などが正の関連を示した。一方、「介護老人福祉施設定員数」「2019年の在宅死の割合」が負の関連を示していたという。
グループは「今後、感染症のパンデミックのような状況への対応に向け、全国的に在宅医療の役割を強化するには、人口密度に応じた機能強化型在支診・在支病のための支援を検討することが必要だ」とコメントしている。