国立長寿医療研究センターと広島大学の中野由紀子教授らの研究グループは、フレイル診断につながりうる新たな指標を発見した。これらバイオマーカーを通じて、その発症メカニズムの解明や予防の研究等に貢献することが期待されている。
フレイルは要介護状態に至る前段階として位置づけられており、身体的脆弱性のみならず心理的や社会的脆弱性などの問題を抱え、人々の自立や健康に対して障害を招く病態として注目を集めている。一方で、適切に介入すれば健康寿命に大きくつながるとされている。
研究グループは61人の患者と43人の健常者の血液を用いて、フレイルに関する遺伝子や老化関連因子を網羅的に探索した。
その結果、中野教授らは骨格筋量と老化関連因子として報告されているストレス応答性の「GDF15」と、脂肪細胞由来のホルモン「Adiponectin」、免疫細胞活発に役割を果たす「CXCL9」、筋肉収縮に関連する「Apelin」が診断に役立つ指標の候補になることを確認している。
また、それらの中ではGDF15が、体重減少や疲労感、体力低下と相関しており最も関係していると考察した。
中野教授らは「本研究で同定されたバイオマーカー候補は、フレイルの発症機序の解明に役立つとともに、予防法・治療法の確立にも貢献することが期待される」とコメントしている。