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大腸がんが免疫を機能させない仕組みを確認 新たな免疫療法開発に貢献 九大など5大学

九州大学と大阪大学、東京医科歯科大など5機関から成るグループは、がん細胞が免疫を作用させない「制御性T細胞(Treg)」と共局在関係を有し、それに「Midkine (MDK)」という分子を介したシグナル経路が関与していることを解明した。大腸がんの新たな免疫療法の開発に役立ちそうだ。

大腸がんは世界で3番目に多いがんで、国内でも致死率や罹患率が高い。予後改善のために新たな治療アプローチが必要とされている。

研究では腺腫とがんが存在する腺腫内がんである早期大腸がん5例と進行大腸がん1例、アジア人大腸がん患者23例の細胞サンプルを解析。深層生成モデルを用いた統合分析を行った。

その結果、がん細胞は、がんと腺腫の境界部において、制御性T細胞(Treg)と共局在。細胞の相互作用においてMidkine(MDK)が、がん細胞からTregへと作用する重要なシグナル分子であることを突き止めている。

研究グループは「これらの知見は将来、早期大腸がんの診断だけでなく、免疫療法における有望な治療標的となること、さらに、発がん予防への展開が期待される結果であった」と評価している。