東北大学の中西三春准教授らは認知症アドバンス・ケア・プランニング(ACP)のガイドライン策定を目的としたパネル調査を行った。認知症に特化したACP実践モデル開発の必要性や組織的支援などが求められているとしている。
ACPとは将来の医学的治療とケアについて家族や医療従事者と話し合い、その人なりの目標や選好を見出すためのプロセス。認知症の人が意思決定能力をもっているうちに、これを始めることが国際的にも推奨されている。
研究グループは2021年9月~22年6月にかけて33カ国107人の専門家を対象に、計4回のパネル調査をオンラインで実施した。
それによると11の政策提言が得られた。「意思決定を人権としてとらえること」「一般の人にACPの考え方を普及させること」「ACPを促す財源や組織的な支援」などが含まれているという。
また、今後の研究で重要なこととして、認知症に特化したACPの実践モデルの開発があげられた。
中西准教授らは「認知症の人が排除されることのないより包摂的なACPに向けて、実践モデルの科学的根拠の積み重ねと施策展開の両輪が求められていることを示唆している」と指摘。「本研究で示された研究や政策の課題は、認知症以外の、意思決定能力に影響する疾患や障害を有する人たちにおけるACPとも共通するところが多い」としている。