東北大学と大阪大学、東北電力からなるグループは、地下の状態を把握し予測設計するための「地熱貯留層」モデリングに機械学習を用いる手法を提案した。短い時間で信頼性の高い地熱開発の普及促進に貢献しそうだ。
地熱エネルギーは二酸化炭素を排出しないため、気候変動への対策に貢献すると期待されている。だが、地下の状態を高い精度で推測する必要があり、これには経験豊富な解析者が時間をかけて取り組まなければいけないという課題があった。
グループは数値計算を使って、圧力や温度など実際の地熱フィールドで計測できるデータを大量に計算。複数の機械学習アルゴリズムを訓練することで、計測データに基づいて数値モデルを自動で推定できるシステムを開発した。
作成した機械学習アルゴリズムを、実際の地熱フィールドを模擬したデータに適用したところ、高い精度で模擬フィールドデータを再現できることを確認。このことから、学習データの特徴に依存せずに、実フィールドにも適用できることを実証している。
グループは「貯留層モデリングにおける入力パラメータ選定の試行錯誤を排除することができる」と評価。時間を大幅に節約できるとし、地熱開発の拡大に役立つと説明している。