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微量ウランの真の分布状態を可視化 放射性廃棄物処理に貢献 立教大・東大・原子力機構

立教大学と東京大、日本原子力研究開発機構などのグループは、世界で初めて超電導転移端検出器(TES)を利用して微量のウランの分布状況を把握することに成功した。英化学会発行「アナリスト」に9日付でオンライン掲載されている。

原子力発電用燃料として用いられるウランの環境中での移行挙動の把握は、放射性廃棄物の埋設処分時の安全性評価において重要だ。ウランの移動の正確な理解のためには、多くの元素信号の中から、微量のウラン信号のみを検出する新たな技術が望まれていた。

従来の半導体検出器(SDD)を使う方法では微量のウラン信号を検出することはできなかった。そのため、ウラン分布が他の元素と似通ってしまい、正確な状況を把握できていない。だが、今回のTESを使った測定では、ウランと他の元素を別にして確認することを可能にしたという。

グループは「ウランだけでなく他の元素の分析にもTESが適用可能であり、今後さまざまな環境試料への応用が期待される」と評している。