東北大学の吉野優樹助教らは、マウスの腫瘍組織と血液由来のリンパ芽球様細胞の相同組換え修復活性を測定する方法の開発に成功した。がん治療薬の効果の予測や遺伝性がんの診断が可能になることが示唆されている。
研究では人がん細胞株をマウスに移植して作製した腫瘍を摘出し、これに測定用ベクターを注射した後に、ベクターをがん細胞に取り込ませた。その結果、DNA損傷を修復する「相同組換え修復」によって生じた融合遺伝子を検出することができたという。
この方法で測った相同組換え修復活性は、DNA損傷を修復できなくするPARP阻害薬「オラパリブ」をマウスに投与した際のがん縮小効果と高い相関を示した。つまり、本法による腫瘍組織の相同組換え修復活性は、がん治療薬の有効性予測に有用と考えられた。
また、血液由来のリンパ芽球様細胞に測定用ベクターを導入することでも相同組換え修復活性の検出が可能であったとしている。
研究グループは「この方法を臨床応用することで、がん治療の有効性や遺伝性乳がんや卵巣がん症候群の診断をより効率的に行うことができるようになることができる」と評価した。