東京大学と鹿児島大学、宮崎大学の研究チームは人の多能性幹細胞(ES・iPS細胞)から作成された大脳組織モデル「大脳オルガノイド」2つの間に神経の束を結合させると、直接融合したオルガノイドよりも複雑な神経活動を示すと発見。脳の神経メカニズムの解明に新たなアプローチを提供しそうだ。10日付の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されている。
研究では2つの大脳オルガノイドを結ぶ新たな方法を開発。特殊な培養チップでオルガノイドを離れた位置に配置して、それらの間に神経の束を作成した。この方法で作られた神経組織モデルを「コネクトイド」と呼んでいる。
コネクトイドは直接融合させた大脳オルガノイドと比べて、より複雑で強い同期した神経活動を現した。また、神経束を刺激するとコネクトイドの力が引き込まれたという。こうした結果は、コネクトイドが本物に近いつながりを有していることを示すという。
研究チームは「開発されたコネクトイドは、ヒトの脳の複雑な神経回路網を再現する画期的なモデルである」とし「脳の発達や機能、さらには脳の障害の仕組みの解明などに役立つ可能性がある」と紹介している。