東京医科歯科大学と北海道大学、慶応義塾大学のグループが開発した新たな解析法「iMAD」を用いて、希少疾患「脊髄小脳失調症1型(SCA1)」の最初期に生じる病態を明らかにした。国際科学誌「コミュニケーション・バイオロジー」のオンライン版に9日付で掲載されている。
研究グループは、「分子ネットワークの時間的変化」を因果関係に基づいてシミュレーションする手法を創出。その結果、発症のはるか以前(超早期)から、脳炎症に将来的に進行する病態が生じていることを発見した。
SCA1における病態「ISG15」の変化を初めて確認。ISG15はSCA1患者で上昇傾向にあり、個々では発症後の病の展開に伴って低下していく傾向にあったという。
グループは「ISG15は患者血液でも上昇しており、バイオマーカーとして使うことが期待できる」と表現。「ISG15のたんぱく質分解系への抑制作用が超早期に起きている上流病態である可能性を示した」と説明している。