東京農工大学の稲澤晋教授らは英ノッティンガム・トレント大との研究で、光が物質を通過する長さを測る「光干渉断層法(OCT)」を用いて、蒸発中の個体粒子(コロイド粒子)分散液の濃度分布を精密に測定できると実証した。新たな機能性粒子膜の作成方法につながる可能性もある。
研究では2枚のガラスに挟まれたコロイド粒子分散液を蒸発させ、OCTで10マイクロメートルごとに粒子濃度を計測。1センチメートルの粒子濃度分析を15秒で行うことに成功している。
粒子濃度分布の時間変化を解析すると、コロイド粒子が十分に濃縮されると粒子の集団として振る舞い、拡散のしやすさは粒子単体の値に比べて、最大で数百倍程度大きくなることなどが分かっている。
研究グループは「光干渉断層法は、これまで計測が難しかった粒子濃度分布の経時変化を迅速に測定できる強力な手段。例えば、光学顕微鏡による目視観察と組み合わせれば、現象の見た目の変化と定量的な評価を両立できるため、未解明な事柄が多い粒子充填の理解がより一層進む」と期待を寄せている。