山梨大学と東京慈恵会医科大学のチームは、光で細胞の脂質シグナルを自在に操る画期的な技術「光駆動型ホスホリパーゼCβ (opto-PLCβ)」を共同開発した。記憶のメカニズム解明や、神経疾患の治療法開発に役立つ可能性がありそうだ。
opto-PLCβ は、光によって活性化するたんぱく質と細胞膜に固定するたんぱく質を組み合わせたもの。青色光を当てると、2つのたんぱく質が結合し、細胞膜上のリン脂質「PIP2」を切断する。これによって、細胞内シグナル伝達が活性化し、記憶形成などにつながる細胞機能が変化する。
研究チームは、恐怖記憶の形成に重要な「扁桃体基底外側核」にopto-PLCβを発現させたマウスに青色光を当てた。結果、opto-PLCβを発現したマウスは、opto-PLCβを現わさなかったマウスよりも恐怖記憶の形成が強化されたという。
研究チームは「この技術を用い、脳科学をはじめ、様々な分野で新たな発見をもたらすことを期待している」とコメントしている。