筑波大学の渡邉真哉講師らの研究グループは、脳腫瘍の早期試験における有効性評価は、多元的に評価することや予後データの蓄積が重要だとしている。
医薬品の製造販売に先立って実施される治験は第1~3相まで3段階あり、それぞれで評価指標が異なる。脳腫瘍の治療薬に対する評価方法が確立されていないため、有効性のコンセンサスは存在せず、研究では脳腫瘍を対象とした1相試験での有効な評価指標の分析を行った。
評価方法を検討するための解析をデータベースを用いて行ったところ、第1相試験では奏功割合(ORR)や無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)など複数の指標が使われているものの、奏功持続期間(DOR)と疾患制御率(DCR)も利用されている場合があると分かっている。
また、脳腫瘍以外の固形がんも対象に含む第1相コホートにおいては、脳腫瘍のみを対象としたコホートと比べて国際的評価基準(RECIST)の利用頻度が有意に高いことが明らかになっている。
研究グループは、これらのことは脳腫瘍と他の固形がんが同時に組み入れられた第1相試験の場合、脳腫瘍に対する有効性の評価は困難と指摘。「多次元な評価基準を用いる必要性がある」と説明している。画像評価も「その種類に応じた基準の利用が不可欠」と訴えている。