筑波大学の松井崇助教らのグループは、eスポーツの⻑時間プレーは疲労感が⾼まる前に認知疲労を⽣じさせるという仮説を⽴てて検証した。時間と認知疲労(判断力低下)との関係は見られなかった一方で、瞳孔の大きさを示す瞳孔径は認知疲労と関連することが分かったという。
研究では筑波大の学生と秋葉原のゲームコミュニティのメンバー33人で、バーチャルサッカーを実施した。瞳孔径を常に測定しながら、計3時間プレーし1時間ごとに判断速度と精度を評価した。
その結果、1時間後にはカジュアルプレーヤーが感覚と判断精度が向上したが、2時間以降は判断速度が遅くなった。また、ハードコアプレーヤーも同時間後には精度の低下が見られた。一方で、疲労感は3時間後に微増したが、認知疲労との関連は認められていない。
さらに、瞳孔径がどちらのプレーヤーも2時間以降は0.1ミリメートル縮小し、その変化量が判断速度と精度の低下に関連し相関関係があると判明している。このことは、仮説通り、⻑時間のプレーが、経験によらず、瞳孔径の縮⼩と関連して疲労感よりも先に認知疲労を引き起こすことを⽰唆している。
松井助教らは「今後、認知疲労の健全な予防に向けたスポーツ、栄養戦略の構築やゲーミング、ITツールの開発研究に取り組む」とし「多様な参加者を対象に同様の検証を進め、⽼若男⼥の活⼒と絆を育む、総合的なeスポーツ科学を展開していく」と意気込んだ。