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コルチゾール産生腫瘍の前段階病変を世界初発見 治療法開発に新たな知見 九大×京大

九州⼤学と京都大学を中心とする研究グループは、遺伝子変異を有する副腎皮質内の微小病変として「ステロイド産生結節(SPN)」を世界で初めて発見した。SPNが肥満や糖尿病などのクッキング症候群を起こす「コルチゾール産生腫瘍(CPA)」に進展することを明らかにしている。英科学誌「eバイオメディシン」に3日付で掲載されている。

これまでCPAの発生機構は分かっていなかった。研究ではこれを解明するために、CPAとともに手術で摘出された副腎皮質を解析している。

研究グループは副腎皮質を解析。SPNを見つけ出してゲノム解析をした結果、CPAの原因遺伝子の1つである「GNAS変異」を同定した。また、SPNは束状層様構造と網状層様構造の2層に分かれていたという。

それらの層を分析すると、束状は細胞増殖を促進する作用をもつことが明らかとなり、SPNのうち束状の部分がCPAに進展することが推定されている。一方で、網状の層は免疫により腫瘍の増殖を抑制する作用をもつことが判明した。

研究グループは「興味深いことに、SPNの2層構造は腫瘍形成において、互いに拮抗する作⽤を持つことが⽰された」と説明。「この成果は、副腎⽪質腫瘍の発⽣機構の解明と治療法の開発に新しい知⾒をもたらす」と評している。