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日本書紀は古代のカルテなのか? 古代日本の先天異常を分析 33症例を確認 京大研究G

京都大学の東島沙弥佳特定助教らのグループは、先天異常の研究が行われていなかった時代のそれらの解明に日本の古典が役に立つことを示した。日本書紀に書かれた身体的異常と推測される記述を抜き出し、症例の診断を行っている。

先天異常とは出生前に生じる構造的または機能的異常のことを指し、世界保健機構(WHO)の報告によれば世界で出生する新生児の6%が有しているとされる。だが、この研究が始まったのは1960年代以降。それ以前の分析を知ることは困難であった。が、日本書紀に「しっぽの生えた人」の記載があり、グループは古代のカルテとして利用できると考えた。

調査によると、41代持統天皇に至るまでに計33例が確認された。生まれつき腕にリンパ管奇形があると思われる天皇や話すことが困難な皇族、2つの顔を持つなどの例が存在していた。グループは比喩として使われている場合もある一方で、古代のカルテとして活用できる可能性も秘めていると考察している。

東島特定助教らは「今後は、『日本書紀』につづくその他の歴史書、たとえば『続日本紀』以降の5つの国史ならびに広く東アジアのその他の史料においても同様の解析を実施することで、かつての先天異常実態の解明に努めたい」とコメントしている。