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トウゾクカモメが構成物耐性菌を南極で拡散 「病原体の監視とリスク管理を促進すべき」山梨大・極地研・ミネソタ大

山梨大学と国立極地研究所、米ミネソタ大学の国際研究チームは南極のアデリーペンギンやトウゾクカモメが抗生物質の働きを阻害する「抗生物質耐性菌」を有していることを明らかにした。病原体の監視とリスク管理を促進することが、これからの大きな課題になると警鐘を鳴らした。

研究では人間の活動レベルが南極半島に比べて低い東南極域を対象に、野生鳥類がどの程度抗生物質耐性菌を保有しているのか。また、抗生物質耐性菌がどのようにして南極へと伝播しているのかを明らかにすることを試みた。

研究ではアデリーペンギンとトウゾクカモメの糞サンプルを分析。93%のアデリーペンギンと100%のトウゾクカモメから抗生物質耐性遺伝子または金属耐性遺伝子が検出されている。

次に、これらの鳥が抗生物質耐性遺伝子をどのように獲得して伝達しているのかを、移動経路が分かる装着装置を使って調べた。その結果、トウゾクカモメはインド洋の熱帯と亜熱帯を移動し、この地域から耐性遺伝子を南極に運んでいることが判明した。一方、アデリーペンギンは南太平洋に留まっていた。

チームは「トウゾクカモメなどの長距離を移動する鳥類が、抗生物質耐性菌を運ぶ媒介者として機能することが確認された」と説明。「今後は南極地域における抗生物質耐性菌や病原体の監視体制を強化する必要がある」とコメントしている。