東京大学の望月昂助教らは、世界最小級の花「ヨウラクラン」が蚊の仲間である「タマバエ」によって送粉されることを明らかにした。ラン科でタマバエによって花粉が運ばれることが示されたのは初めて。
ラン全体では1センチメートル前後のとても小さな花をつける種の多様性が特に高いことが分かっている。だが、なぜそうした種が進化してきたのかは判明していない。
研究グループは2022年に愛知県で26.5時間の直接観察を実施。その結果、20:00~6:00に微小な双翅(そうし)目昆虫が多数花を訪れることを確認した。捕まてみると、訪花者のうち95%がタマバエであった。また、多くの個体が頭部にヨウラクランの花粉を付着させていたという。
これはタマバエがヨウラクランの花弁の付け根に見られる凹み構造に口器を差し込む過程で付着したと考察されている。タマバエが花から花へ移動しながら花粉を運び、めしべの先端に花粉が残る様子も観察されたことから、この虫がとりわけ多く運んでいると推察された。
望月助教らは「送粉者であるタマバエの生活史を踏まえてさらに調査を続けることでさらなる新発見に繋がるかもしれない」とコメントしている。