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樹木がマイクロプラスチックをキャッチ 世界初実証 アルカリで葉を洗浄 日本女子大など

日本女子大学と早稲田大学、分子機器の「パーキンエルマージャパン」からなる研究グループは、葉面に捕捉された大気中マイクロプラスチック(AMPs)に適した洗浄法を開発した。AMPsが葉の水分損失を防ぐ「エピクチクラワックス」に吸着することで、葉に捉えられているという仕組みを初めて解明した。

研究では超純水による葉面洗浄に加え、超音波洗浄とアルカリ洗浄による葉面に付着したAMPsの除去効果を、日本女子大の西生田キャンパス(神奈川県川崎市)で検討。キャンパスの主要樹種であるコナラの葉を2022年6月21日~8月9日に採取して実験した。

超純水、超音波、アルカリ洗浄と段階を経るごとに検出されるAMPs量が上昇。アルカリ洗浄で最大量のAMPsが回収された。

また、葉面を観察した結果、超純水では葉に付いたAMPs、超音波では表皮細胞の突起「トライコーム」に捕捉されたAMPs、アルカリ洗浄ではエピクチクラワックスにくっついたAMPsが洗浄されたと推測されている。

AMPsのエピクチクラワックスへの吸着が機能しているということ、さらにAMPsは超純水や超音波を用いた洗浄では十分ではないが、アルカリを使うことで適切に回収できると明らかにしている。

研究グループは「大気中マイクロプラスチック対策としても重要であることを明らかになった」とし「国内の林業を再興し、森林を適切に管理していくことは、地球温暖化問題と大気中マイクロプラスチック問題の双方に対して有効な対策となり得る」と提言している。