理化学研究所と東京慈恵会医科大学の研究グループは、トウモロコシ由来の「コーンオリゴペプチド」には高脂肪食による肥満や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を改善する効果があると発見した。研究を進めていくことで、より効果的なサプリメントの開発などに貢献しそうだ。
現在、NASHに対する有効な治療法は確立されていない。そのため、栄養学的アプローチを用いて積極的に介入する栄養療法の重要度は高く、原因に応じた長期の経口摂取が可能で安全な栄養療法が必要。
研究グループは、早期段階の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態モデルとした肥満マウスを作製した。コーンオリゴペプチドを与えることで体重の減少や肝臓への脂質蓄積、炎症の抑制などの肝保護作用を確認している。
コーンオリゴペプチドの標的遺伝子を探ると、エネルギー代謝などに関連する「サーチュインシグナル経路」に関わるタンパク質群が有意に含まれていることが分かった。また、投与したマウスでは肝組織のミトコンドリアで心疾患にもつながる「Sirt3」や「Sirt5遺伝子」の発現が選択的に抑制されていた。
研究グループは「今後はコーンオリゴペプチドの機能性成分を分析することにより、より安全性と有効性の高い摂取が可能なサプリメントの開発が期待される」と評している。