筑波大学と神戸大学の研究グループは、鹿児島県の屋久島に生息する「ヤクスギ」の上にたまった土壌から地表の土壌動物に匹敵するほど多くの無脊椎動物を検出した。地表とは異なる⽣物相があることが明らかになっている。
ヤクスギの上には枝や幹の分かれ⽬などに樹⽊の葉が堆積し、⻑い年⽉をかけて分解した「林間土壌」が存在する。グループは樹齢1000年以上の5固体と300年程度の4固体を選んで林間土壌を採集した。
集めたサンプルから33目183科の陸生無脊椎動物の配列が検出された。特に老齢の土壌からは1サンプルあたり12目28科の生物群が発見され、樹木付近の地表の11目32科に匹敵するほどだったという。
また若い樹木の土壌は堆積量が少なく、無脊椎動物は9目11科であった。樹上で確認された群は地上とは異なり、独特の生物多様性が存在することが明らかになったとしている。
研究グループは「林冠の⽣物のすみかを確保し、次世代の森に継承するためには、まず、現在存在する⽼齢林を確実に保全していくことが重要」と説明。「林業で樹⽊を伐採する際に、⼀部の⽼齢⽊を残しておくなどの取り組みが必要だ」と主張している。