広島大学の杉山文講師らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症症状の経過とリスク因子を明らかにすることを目的とした大規模調査を実施した。成人の約8割、子どもの約3割に何らかの症状が認められている。
研究では2020年3月~22年7月にCOVID-19と診断された2421人を対象とした。後遺症症状の経過及びリスク因子を明らかにすることを目的とした疫学調査を2022 年11月~23年3月に実施している。
その結果、感染時の隔離が解除された時点では、成人の78.4%、小児の34.6%に倦怠感と咳、集中力低下など何らかの症状が認められた。3カ月以上の症状が継続した場合は、成人と小児の6割において症状が1年以上継続することが明らかになった。
また、日常生活に支障をきたすレベルで何らかの症状が1年以上続いている人は、成人では1割強、小児はそれ未満であった。
コロナ後の症状が3カ月以上続くリスク因子としては、年齢が30~49歳であることと性別が女性、糖尿病、喫煙、デルタ株流行期の感染が特定されている。
杉山講師らは今後について「今後、更なる追跡調査を行い、COVID-19罹患(りかん)後症状の長期経過を明らかにする予定だ」と力を込めている。