大阪公立大学など4大学からなる研究グループは、色素性病変治療の臨床現場で利用されている「ピコ秒レーザー」の波長ごとのレーザー照射指標を初めて開発した。「科学的根拠に基づくピコ秒レーザー治療が実践されることで、治療の安全性と有効性の向上にもつながる」としている。
色素性病変の治療ではシミを狙い撃ちできるピコ秒レーザーが注目されている。このレーザーは炎症後色素沈着などの合併症が少ない治療法だが、照射条件の目安となる指標を客観的に定める方法はなかった。
研究ではヒト皮膚のシミの代替試料として、ブタ眼球から抽出した懸濁(けんだく)液に光照射。波長532, 730, 785, 1064ナノメートルのピコ秒レーザーによる破壊閾値(いきち)を取得した。
研究グループはシミの分布に応じて必要となる照射波長、照射エネルギー密度、スポットサイズの関係性を定量評価。照射条件の数値指標を示すことに成功している。さらに、この指標から、合併症の発生率が低く、高い有効性を示した既報の臨床結果を説明できることも確認している。
研究グループは「本指標は臨床現場だけでなく、新規装置の仕様設計や前臨床段階での評価を効率的に行うためにも有用だ」と説明。「臨床データとの比較検証を重ねることで、科学的根拠に裏付けられたピコ秒レーザー治療が実践され、より安心安全な色素性病変治療につながる」と講評している。